「ヘヴン」に思ったこと。

ヘヴン

ヘヴン

なかなかにヘビー。でもイッキ読み!こんなの久しぶりだ。
ラストシーンは確かに美しいけれど、肩すかしをくらったような気持ちなのも事実。
おそらく私をふくめた多くの人間は、生きることに何かと意味をつけたがり、善い悪いで物事を判断する。何が正しくて何がいけなくて、何がどうあれば強いと、あるいは弱いと言えるのか。誰が決めるのか。
色んな人がいる。どんな人でもいる。ただ自分は、あるがままにいるしかない。できることなら誰にも嫌われたくないし、せめてやさしくありたいとも思う。それができないことも多々あるけれど、自分にとって大切なものは外さずに生きていられたらと思っている。結局いずれは死ぬけれど、死んですらも死を死ぬことができないのなら、それについてやきもきするのはひとまず置いておいて、今生きることに専念するしか、方法はないのじゃないか。日常というものを繰り返す。朝が来なくなるまで。
しかしながらこの世界の混沌を嘆く、嘆きたがる自分もいるわけで。なんにもわかっちゃいないのにわかった風を装って。ただ生きるだけじゃ飽き足らないんだね。「なんか言わなきゃ気がすまない」。でも実はいちばん気にしてるのは、明日行く場所でヘマをしないか、嫌な顔をされないか、そんなじめじめとみみっちいことだったりして。
わからないことがますますわからなくなっていく。だけどこうやってね、ある人が明らかに魂込めて時間かけて、身を削るように書いたであろうフィクションを読んで(ただそれは現実にじゅうぶんに有り得る、むしろ現在進行形で存在していると言い切ってしまえそうなほどのリアリティを含んでいるけれど)、疑似体験みたいなものをして、頭の中がぐるぐるまわる、言葉もつらつら出てきてしまう、こんなふうになることがまさに生の一端であるような気もして。それがすごく、なんというか嬉しくて幸せなことだなぁと思う。ありがたい。だから私は読書がやめられないんであって。
考える、ということをやめてしまったら、ただのイレモノになってしまうもん。やっぱりそうはなりたくないな。